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8章:destiny
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演奏が終わって打ち上げに行こうという流れになった
俺は着替えるために控室に行こうとロビーを通った
その時、見覚えのある、懐かしさを覚える人物に思わず足が止まった
え…
あの、後ろ姿
背格好
雰囲気
あれって…
そんなまさか…
何でここに…?
動揺と動悸が激しくなる
もう、逢えることはないんだと
そう思ったはずだった
でも
でも、あれは…
見間違えるはず…ない
あの頃、毎日のように見ていた後ろ姿だから
声をかけると振り返る君のその顔が見たくて…
早い心臓の音
俺はそのままその人物の元へ思わず駆け出す
人物が近づくにつれて、歩幅を小さくして徒歩に戻した
俯いている女性
「冬至(とうじ)…?」
声をかけると、携帯を持った彼女がぱっと振り返って俺を見た
冬至…
心臓がドクン、と脈打った
「…先輩」
呆けたようなあどけない顔
冬至は未だに高校生の頃のまま、俺を先輩と呼んだ
先輩って…その言葉に内心笑って、そして懐かしさがこみ上げた
目の前には、あの頃からずっと忘れられなかった冬至
セミロングの髪
ブラウスにテーパードパンツ
シンプルな服装
大人っぽく、より綺麗になった冬至
夢…じゃないよな?
「先輩に…ずっと逢いたかったです…」
出逢った後、二言目にそう言った冬至
こんにちはも、こんばんはも、久し振りも
そんな挨拶省いてしまうくらいの衝撃
「ここに来たら、もしかしたらまた逢えるかもしれないって…」
そう言って眉間にしわを作って、微笑んだ
見てくれたんだ
冬至の、目に入ったんだ
「冬至…俺も、逢いたかった
ずっと…」
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群青色の時代 ©著者:菜園すず
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