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そのパティシエの人は驚いていたけど
「俺、自分の店を持って独立したいんです」
と言ったら詳しく話を聞いてくれることになって、そして俺はそのパティシエの店で働き始めた
その人は東京でパティスリーを持っていて、独立の現実的な話や具体的な案を教えてくれた
それを聞きながら俺はお金を貯め、自分の店を持つための準備を進めて行った
それから月日が流れた
俺は自分の店を持てるまでになった
美園は何処で何をしているんだろう
もう、誰かと結婚でもして、家庭を築いているのかな…
慌ただしい時間が過ぎ去り、お客さんの落ち着いた閉店間際
入り口の方でいらっしゃいませ、と言う声が厨房に聞こえた
ギリギリの時間に誰か店に入って来たようだ
そのまま締め作業をしていると、カウンターにいた従業員がこちらにやって来た
「雅人くん、お客様が呼んでるんですけど…」
「え?俺に?」
「はい、浦和美園様と言う方が…」
その瞬間、俺の心臓が大きく一度、跳ねた
美園…が…?
「わかった、ありがとう…」
俺はそう言って外に向かって行った
ショーケースが近づいていく
その前には携帯を見て俯いた女性
俺は恐る恐るその人物に声をかける
「美園…?」
その人物はハッとして携帯から目を離し、俺を見た
美園…
「なんで…ここに…?」
俺がそう言うと、困った顔をしながら口元は微笑んでいた
「テレビで…見たよ」
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群青色の時代 ©著者:菜園すず
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