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2章:時間薬
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あの日、抱き締められながら泣いて以来きっともう涙は枯れたはず。
人前で泣くなんて、子供の時以来だった気がするけど。
葉山はあれから何事もなかったかのように、ブラックジョークも言ってくるし本当に有難い。
私は滅多に飲まないけど、葉山は毎日缶ビールを1本飲むし、ご飯もしっかり食べるし、きちんと鍛えてるのか?葉山の寝室にはダンベルやらトレーニング用品が少しあるのが見えた。
葉山の寝室以外は私が掃除をするようにしている。
男子の部屋は、女人禁制!!
いくらオープンな葉山だからってその一線を越えたらいけない、と思ってるしそもそもそこまで私も図々しい訳ではない。
何だかんだ仕事も慣れて、葉山との生活も半年以上経過してそれなりにリズムも出来た。
誰にでも落ち込む日、苛々する日があるはずなのに葉山はそんな様子を見せない。
凄いメンタルの持ち主なのか?
とある日
私は晩酌なんてほとんどしないのに、何となくスーパーで甘くて飲みやすそうな缶チューハイを見つけたから1本買ってみた。
そしてその日の夕飯は私も晩酌に付き合った。
2口目には何となくほろ酔いだ。
葉山はそんな私を珍しがり、ケタケタと笑っていた。
何だか、特に盛り上がる話をしてる訳でもないのにやけに楽しかった。
葉山「美野和って本当謎多き女、だよな。」
私「そうなのかなぁ。
そんなつもりはないんだけど。
人並みに学生時代過ごして、そこからの友人もいて、恋愛もして、主婦も経験して。
普通のつもりなんだけど。」
葉山「自分ではわからないよな。
みんな自分は普通とかまともだと思ってるもんだし。
俺だって、至ってノーマルよ。
なあにがいけなかったのかなぁ。
やっぱり変な癖があったのか?」
私「どこに?」
葉山「性癖とか、においとか。」
私「何それ(笑)」
1時間以上かけて漸く缶チューハイを飲み終えた。
いつもは1缶しか飲まない葉山も3本目を開けてる。
カキピーとお酒を持ってリビングのソファで観ないのにテレビをBGMにしていた。
私「私が居座ってたら恋愛したくても家連れ込めないもんね。」
葉山「それなんだよ(笑)
って言っても他に気になる子なんていないけと。」
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鉄の不文律 ©著者:愛希
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