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5章:朱里
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5章:朱里
翌年2月、志朗は朱里がいるラブクラッシュで飲んでいた。
紫乃のその後の様子が知りたかったが、紫乃と喧嘩別れしている翠には聞きにくく、それならば紫乃を追い込んだ張本人である朱里に聞いてみようと思ったからだった。
多分、知ってても知らないというであろうが、その時はくどくどと追及せずにあっさり引き上げるつもりだった。
朱里が志朗の席に着くと、いきなり志朗の左手を両太ももに挟み込みながら、接客してくる。
(こんな手法は初めてだ)
と志朗は戸惑いを感じた。
志朗のお触りを警戒しているのか、それとも志朗を挑発しているのか。
「そんなことするといたずらするぞ」
志朗は冗談っぽく言って、それから挟まれている左手を少し動かしてみた。
すると意外にも朱里は
「いいよ。VIPルーム行こう。どうせ紫乃さんのこと聞きにきたんでしょ。ゆっくり話そう」
と言い、志朗の企みをあっさりと見抜き、その返事を待つことなく、
「VIPルームへ移動するからお願いね」
とボーイに告げ、挟んでいた志朗の左手を取って導いた。
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染濁 ©著者:谷川 俊
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