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4章:第三章
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そうだ、このビルを昇ってみよう。あいつに会えば、まこなに会えばなにか方法があるかもしれない。そう思った次の瞬間、即座にビルの中に入って階段を昇っていた。けれども、そこには異様な光景があった──。
あるはずのものが無い──と言うより、階段が途中で途切れていた──いや、それは階段だけじゃなく、壁も天井もその空間の全てが、そこから先が無かったのだ。そして、その代わりにあるのは闇だけだった。ただただ黒くて深さの計り知れない闇、それがあるだけだったのだ。
な、なんだよ、これ……。
階段を3段ほど昇りかけた所で俺が固まっていると、又してもまこなの声が聞こえてきた。「ねぇ、ちょっと、余計な体力使わないでもらえるかしら」そして今回のそれは真上からだった。
「つうか、なんで俺はここにいなきゃなんねーんだよ?」なかば苛立ちながら俺は訊いた。
「残念ながら──それはまだ話せないわ」とまこなが言った。「だって、それを話してしまったら、わたしの計画が頓挫してしまわないとも限らないんだから」
計画だって? な、何を企んでんだよ、お前は……?
もはや絶望感にまみれながら、そう思っていると、どこからともなく声が聞こえてきた。「──う──ん! しっ──り──てく──さいよ!」
その声は、初めのうちは途切れ途切れで、おまけに遠くの方から聞こえてきた。けれどもしだいに近づいてきて、そしてさらに繋がっていく。「ゆう──ん、おき──さいよ! どう――ったんですか!」
その声は紛れもなく聞き覚えのある声だった――いや、と言うか、俺がこの場所、この奇妙な世界に来るまで聞いていた声──つまり、カナメの声だった。
「え、なに、どういう事なの?」その声が聞こえたのとほぼ同時にまこなが言った。「なんでこんなにも簡単に結界が崩れてしまうのよ……な、何なのよ、ゆうき! この役立──! ぽん──」明らかに取り乱しているのがその口調から分かった。
なんだ、なんだ……? もちろん俺だってその状況がまったく理解出来ていない。
「ちょ──、な──のよ──」今度はしだいにまこなの声が途切れていく。それと同時に辺りの景色もぼやけていく。
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