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8章:理由
レイ「 エレナ、俺はそろそろ元の仕事に戻らなければならない。今まで通り、時間が空いたら帰ってくる。 」
エレナ「 ...。 そう。 」
レイ「 エレナ... サラもアロも居る。必ず帰ってくるから。 」
エレナ「 戻りたがってたもんね。貴方。 」
レイ「 ...。 」
2人に隠し事は出来ない。例え心の奥底にある、自分でも気づかなかった本心ですら、エレナは感じとる。秘密など持てないのだ。
レイ「 俺が居れば、仲間を守ってやれる。 」
エレナ「 私より、仲間の命? 自分よりも、仲間の? 」
レイ「 エレナ、俺は、 」
エレナ「 兵士だ。それをわかってて結婚したんだろ。嫌なら出て行け。 」
レイ「 そんな事、言ってないだろ!出て行けなんて、思ってない!勝手に人の心読んですり替えるな! 」
エレナ「 口を悪く言い直せばそう言う事。でしょ? 」
レイ「 俺に罪悪感感じさせるな。」
エレナ「 あの決まり事、廃止するべきよ?立場が上の人間のみ、家庭を持たせる権利を与えるなんて。根っからの兵士に育てたなら中途半端な優しさ捨てれば良いのに。」
レイ「 ...。後悔してんのか。 」
エレナ「 私はしてないけど、貴方はするかもね? 」
レイ「 はぁ??する訳無いだろ。 」
エレナ「 さぁ。それはどうかな? いってらっしゃい。兵士さん! 」
彼女は笑顔を向け、レイを見送った。
流石エレナ族だ。レイには感じる事の出来ない何かを彼女は知っている。
心を読んでもエレナのレイに対する愛情は何一つ変わらず、離れる気などさらさら無い。にも関わらず、レイを不安にさせる。
この力に偽りは無いのかと疑うほどだ。
彼女の心は自分の願望であり、本心では無いのか?そう思う時があるのだ。
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