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6章:力
レイ「 迎えに来た。支度、出来てるか? 」
エレナ「 うん。 」
三日後の満月の夜を迎える日の早朝、レイはレバンを連れエレナの家に訪れていた。
あの森へ向かうのは久しぶりだ。
あの場所で2人が出逢い、そして全てが始まったのだ。
市街地を抜け、人里離れた場所へ向かう2人。
そして彼女がかつて住んでいた小さな家は、放置され畑も無くなっていた。
レイ「 ひでーな... 」
エレナ「 人が居なくなると朽ち果てるのは、仕方ないね。 ありがとうレバン。重かったでしょ。 」
レイ「 降りるのか? 」
レイは彼女の腕を掴み降ろすと、当たりを見回していた。
レイ「 もう居ねーよ。 」
エレナ「 レバンの足音には気付いてるはず。もう少し待って? 」
レイ「 日が明ける前には戻らねーと。 」
エレナ「 あ!来た! 」
レイ「 嘘だろ... 」
そこには飼い主との再会を喜び走るミドルがいた。
彼はエレナの事を覚えていたのだ。
エレナ「 ミドルー!久しぶり! あれー?ちょっと太った?食べすぎよ。 」
レイ「 ずっとこの辺に居たのか? 」
エレナ「 頭のいい子だから。人の居る町には行かないと思う。さて、行きますか。 」
レイ「 え? 」
納屋から馬具を取り出した彼女はそれを取り付けると器用に乗り込んだ。
エレナ「 追いつけるかな? 」
レイ「 俺に勝てると思うなよ。最速兵士とその相棒だぞ。 」
笑ってみせたエレナは、ミドルを走らせ森の奥深くへ向かった。
馬に跨り走るその姿は普段とは違い、力強さを感じた。
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