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3章:第三章 (1/13)

3章:第三章

自分だけのものになって欲しい。

富美子の夕貴に対する独占欲は日に日に増すばかりだ。

富美子は新宿で有名な占い師の元を尋ねた。

その占い師はのちに詐欺容疑で逮捕されたのだが。

「彼とあなたには見えない壁がありますね」

富美子は「そんなの認めたくない」と言うように首をぶんぶん横に振った。

「でもね、彼もあなたを愛しているのよ」

「やっぱりそうなのね」

「ええ。この数珠でできたブレスレットは不思議なパワーを持っているの。

このブレスレットを彼にプレゼントして、お揃いで身につけなさい。

そうすれば呪縛が解かれて、あなた達を邪魔するものが消えるわ」

「買います、買いますとも」

富美子は興奮気味に息を切らして言った。

「じゃあこのブレスレットを手に取って。そしてお祈りをするから目を閉じて」

富美子は目を閉じ、ボロボロと涙を零した。

「ハンミャラハ、ハンミャラハ、ソンミンダ、ジュラハンマ……むにゃむにゃむにゃ……

貴方のお力をお貸し下さい……

無限の愛を与えて下さい……

はあっ!」

富美子は1つ30万もするブレスレットを何の躊躇いもなく購入した。


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塀の向こう側で ©著者:えだまめ

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