あたしは殺人の費用を稼ぐため、久しぶりに出勤した。

　そして、その足でノアをご飯にさそった。

「ノア、なんでも奢るから頭貸して！」

　昨日は自力でアイトを探すと言ったが、実はまったく当てがないのだ。

　元大学生のノアなら、何かいい方法を思いつくかもしれない。

　あたしは殺し屋のことを隠しながら、ノアに相談した。


　でも。


「金持って逃げたホストを呼び戻す、ね。普通に考えて無理だと思う」

　ノアは容赦なく言い切った。

　接客をしているときの甘ったるい態度は演技なのだ。

　素のノアはもっとサバサバしている。

「そこをなんとか！」

「なんとかって言われても。っていうか、なんでわたしに頼むの？」

「だって、ノアは大学生だったんでしょ。めちゃくちゃ頭いいじゃん」

「いや、そういうのじゃないから」

「それでもあたしみたいなバカとは違うでしょ」

「自分のこと、あまりけなさない方がいいよ」

　ノアが気怠そうに言う。

「だってアイトにもバカバカ言われたよ。アイトの方もバカなのにさ」

「バカ、ねぇ。まあ、バカなホストなら呼び戻すくらいはできるかも」