5章:初指名 (2/11)

毎日ショウと電話をして１週間が過ぎ、土曜日になると寂しさが襲う。

先週は、ショウが仕事終わりに会ってくれたけど。
今日は会ってくれるか分からない。
そんな不安に押し潰されてしまいそうだった。

約束の無い状況程怖いものは無い。
彼氏彼女であれば言える「会いたい」も、付き合っていない今の状況では発する権利を持たない。
それが、堪らなく悲しい事だと思い知らされる。

FUNICって、いくらあれば足りるんだろう。
サイトで見ると、指名料2000円の1時間5000円と書いてあった。

これなら、全然払える。

1時間だけ、1時間だけなら。

どうしてもショウに会いたい。

はやる気持ちは抑えられず、急いで準備をした。
ふと、この前買った花柄のワンピースが目に入る。

ショウ、可愛いって思ってくれるかな。

袖を通し、今まで記念日にしか使わなかったコテを使い髪を綺麗に巻いた。
メイクもいつもより丁寧に。スキンケアから丁寧に仕上げ、マスカラをたっぷりと付け、グロスをしっかりと塗る。

電車に乗ると19:30だったので、FUNICにはオープンの1時間後には着ける計算だった。