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2章:101〜200 (2/4)

111、あの時、この手紙を受け取っていたら、私は彼女とずっと連絡を取り合い、二十四年の歳月は今よりずっと彩りのある幸福な人生になっていたに違いない。


112、彼にそう言われて、私は口篭った。

確かにそうか、と問われると…

返事に窮した。


113、二十四年前、このあたりはまだ八百屋、肉屋、花屋、文房具屋など小売店で賑わっていたが、スーパーやコンビニの影響で、殆どの店は新築に取って代わっているか、シャッターが下されているかしていた。


114、彼女は恥ずかしさのあまり、真っ赤になって姉に抗議したという。


115、手紙を胸に当てて、あのとき食べた手作りのチョコレートの味を蘇らせようと、目を閉じ、自分の意識を二十四年前にタイムスリップさせてみた。

頭の中でチョコを何度も噛み締めながら、消化しきれない彼女の苦悩を想像した。

底の見えない深い悲しみの味が口いっぱいに広がった。


116、私は、教室に入ると、転校生の真田清の横顔に目を留めた。

彼の方でも、私の視線に気付くと、すぐにこちらを見返してきた。

117、真田の刺すような視線に私の心はかき乱された。


118内弁慶で平凡を地で行ったような私が、彼のような人気者と親しくなれる訳がない。


119、渡辺彩名は勉強はそこそこ出来るが、肌の色が浅黒くてさほど美人ではない。

どちらかというと可愛い系の顔立ちをしており、明るいだけが取り柄、と私の目には映るのだが、その天真爛漫ぶりが不思議と男子には受ける。

※天真爛漫(てんしんらんまん)=飾らず、自然のままの姿が溢れ出ているさま。


120、我ながら単純バカなのは認めるが、そんな毒にも薬にもならない日常こそ、私が安心して身を置ける高校生活だった。
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恋愛小説表現集 ©著者:小島 優子

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