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1章:月世界
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慌てふためく周りの人達を無理矢理かわして再びエスカレーターに乗り改札口を目指した
『本当に私大丈夫ですから』
『君、何かあったら連絡しなさい、私は逃げたりしないから!』
スーツケースのサラリーマンの声が後ろから
聞こえた
誠実な人なんだな、奥さんもきっと幸せ者なんだろうな
と一瞬思ったがそれ以上は何にも感じなかった
懐かしい出口を出ると既に外は暗かった
私の実家には負けるが結構な田舎だ
ヨロヨロタクシー乗り場に向かう途中で
『あ、ビール買わなきゃ!』
と思いだしかろうじて開いていた小さいスーパーでトワの好きな銘柄のビールを1ダース買った
『お姉さん大丈夫?!脚転んだの?』
と母親くらいの年齢の店員さんに指摘をされた
『え?』
改めて自分の身体を見ると膝から出血していた
店員さんからもらったおしぼりで止血をした
不思議と血が出てる箇所は痛くも痒くもない
ただ1ダースのビールが異様に重く感じた
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狂ってた ラスト2 ©著者:弓
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