9章:乳房再建 (2/6)

最近、

ちゃんとした胸がほしい…

ちゃんとした胸があったら…

と考えてしまって、どうしようもなく涙がでてきてしまう時がある…

いまだに

もしかしたら長い長い夢を見ているのかも…

と思ったり

本当の自分の姿は別のところにあるのかも…

と思ってみたり…

単なる乳腺症だったのに間違って右の乳房を全摘された？

なんて思うことさえあったから

前に貰った術後病理組織診断報告書を改めて見て

間違いなく乳がんだったと自分自身を納得させている…


明らかに

現実逃避しているワタシ…


私の身体から右の乳房がなくなって

もう、半年以上、経つけど

両方の乳房があった元の感覚がどういったものだったか

もうすっかり忘れている…

プラベのセックスで両乳房を責められてビンビンと感じる感覚や

ソープやデリで客から乳房を弄ばれて

痛くて痛くて殺意が沸く、あの感覚…

みんな、忘れてしまった…

そして鏡の前で右の乳房がないカラダを見ていると

いまさらながら

どうして私が？

と自問自答してしまう…


人生はフィフティ、フィフティ

と誰かが言っていたけど

右の乳房がなくなり、ワタシは何を得たのか…

ワタシは得た物なんかない…

失うばかり…

きっと、まだ、失うものが待っているんだろうな…