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3章:恋人のレオタード
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3章:恋人のレオタード
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裸婦デッサン一回目の作品は初心者レベルで、とにかく及第点とは言えなかった。
それでも素質はあるのだから、あとは慣れだろう。
とことん付き合うことにして、二回目もノーブラ・Tバックで乗り込んだ。
──少年の彼女が来ているなんて、夢にも思わなかった。
肖像画で見た清楚な美少女はクラスメイト。
そして、私にこう言った。
「彼には合格してほしいんです」
▼
泣かせるよね。美大志望の彼氏のために身を捧げるなんて。
今まで3回モデルをやったという。
制服とワンピースと浴衣で。(健全だな)
課題がヌードと知って、彼女は裸にされる覚悟をしたそうだ。
しかし、そのオファーはなく、彼は自信満々なんだと思っていたところへ、プロのヌードモデルでうまくいかなかったという噂を聞いた。(どういうルートでだろう?)
そこで、救世主のごとく、彼女も乗り込んできたのだ。
▼
倒錯の世界だわ──
セミプロのヌードモデルなのに一枚も脱いでいない私は、部屋の隅に立って初々しい新人モデルを見ていた。
新人モデル──少年の彼女はレオタードに着替えていた。
黒一色のバレエ教室のようなレオタードだなと思っていたら、本当に彼女はバレエを習っていた。
白い肌が映える。美しい体のラインが映える。
スタイルいいなー。
同性が見ても、羨ましい。
最初は、先日の着衣の私と同じく椅子に座ったナチュラルなポーズだったが、すでに少年は体の線をつかみ損ねているようだった。
制服や浴衣ではわからない、体のライン──その曲線がつかめないから、ヌードを怖がっていたのかもしれない。
「本当に好きなら、きれいに描いてあげなさい」
私のアドバイスはこれだけ。
やがて少女は椅子を立って、バレリーナらしく、さまざまな躍動感のある美しいポーズを見せた。
言うまでもなく、シルエットはヌードそのものだ。
「あ、きれいなお尻」
思わず言ってしまった。
少女も満更ではないようで、もっと笑顔になって演技を続けた。
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ヌードデッサンのある美大の入試 ©著者:きのした詩織
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