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23章:民の為に
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クラッドはアリシャールの勉強の為に資料を揃え部屋に向かっていた。
コンコンコン。
「アリシャール王子、クラッドです。入りますよ。」
ガチャ!
そこには机に向かい自習勉強していたのだろうアリシャールが居た。
「つい集中しちゃって……すぐに片付けるから、その辺に居て!」
机にあった本やノートを無造作にベッドに置く。
それを見てクラッドは居たたまれない気持ちになった。
『あぁ……。そんな無造作に。か、片付けたい。』
気持ちをこらえ、次の文学に切り替える。
「ふぅ……。やっと綺麗になったぞ!これで勉強が出来るようになったな。」
机にあった物をベッドに置いただけと言う、なんとも子供らしい考え。
「えー、ではこれからお勉強を始めます。本日も宜しくお願いします。」
クラッドは決まってこの言葉を言うクセがある。
黙々と勉強が始まり、アリシャールは次々と質問をしてくる。
それを本で調べていったり、クラッドが教えたりと、まぁ忙しい。
色んな質問をしてくるアリシャールなので、クラッドも一人夜な夜な勉学に励んでいた。
「ねぇ、クラッド……。もうラファエラやミカエラとは会えないのかな?」
ふとした拍子にアリシャールの心の声が聞こえた。
「そうですね……王子の段階ではなかなか会うことは難しいでしょうね。それぞれが国王となられたなら会う機会は有りましょう。」
その話を聞いてアリシャールはホッとしたようだった。
「じゃあ、僕が国王になったら遊んだり出来るかな?」
「国王になるにはまずはお勉強をしっかりしなければなりません。それに、まだまだ現国王は健在です。簡単に国王になるとは限りませんよ?民の為に力を尽くし、民の為に生きるのが白の国王の役目です。お遊びしたい考えならば、私は教えることはありませんよ。」
そう言うと持ってきた本を片付け始めた。
「待って!僕がまだ子供だって事でしょ?でもいっぱい勉強していつかお父様の様な国王になるのが夢なんだ!」
その言葉を聞いてクラッドは席に戻った。
「わかりましたか?国王と言うのは言葉では簡単ですが、実際にはそう甘くはございません。」
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白と黒の王子 ©著者:ティピぃ
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