21章:新しい時代 (5/18)

『あんなガキ相手にしてられるか！僕はシャロンとは違う……そしてこれからも変わることはないし、変わることもない。』
握り締めた拳から血が滲む。

『あー、気乗りはしなかったけどここまで腹立つとなんかイラつくな……。』
部屋を出て向かった先は中庭だ。

カツカツカツ……
兵士が居る廊下を早歩きで歩く様は、他から見ても分かる程。
何も言わず道を空ける兵士は怯えながらノヴァールが通り過ぎるのを待つ。

『どいつもこいつも……鼻につく。顔色を伺うような目。動揺する姿……どれも気に触る！』
早歩きから小走りになり、すぐに中庭に着いた。
警備は薄く、ノヴァールが唯一外で寛げる場所が中庭だった。

『この木、昔良く登ってたな。まぁ、今考えると良く登ってたな……。そうだ！木の実も食べてたな。懐かしいな……。』
木に頭を着けて思い出に一人浸っているノヴァール。
きっとラファエラもこの木に登り木の実を食べたりするだろう。