19章:王位継承 (15/15)

「ノヴァール国王陛下、失礼ながら申し上げます……。お洋服が乱れておりますが、烙印者と何かありましたか？」
恐る恐る聞く兵士にノヴァールはいつもの様に冷徹に放った。
「何もない！」

『くそ！あの男のせいで頭が可笑しくなる。イラつく！』
一人悶々としているとそこへクラッドが走ってきた。

「ノヴァール国王！どちらにいらっしゃったんですか？探しましたよ……ハァハァ。……ふぅ。これから最後でございます。ノヴァール国王にも一言頂戴せねばなりません。急ぎホールまでお越し下さい。」
息を切らしながらクラッドは言ってきた。
『仕方がない……気は進まないが…。』
返事はしなくてもクラッドならわかった。
「では、その乱れたお洋服では示しが付きません！」
そう言うと、手慣れた手付きでノヴァールの服を綺麗にしていく。
あっという間に先程と同じように着れた。
「す、すまない。」
「いいえ、敢えて何も聞きませんので最後までしっかりとしてください！」
深く一礼し、その横をノヴァールが通り過ぎていった。

『ノヴァール国王、随分と変わられた…。これからは二人して国を背負って下さいませ。』