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4章:‡余すか余されるか‡
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ピアノの蓋を閉じて、エレクトーンのカバーを引く。
何故か、明日日曜日の大人のレッスンは、予約ナシ。
新年度になって、皆様お忙しいらしい。
大人の生徒は、チケット制なので、都合の良い日曜日に行ってる。
毎年、年度始めはこんな感じ。
バブルのこの節。
お金巡りはとてもよく、その代わり仕事巡りもいい。
黙って待ってても、仕事の方からやって来る。
そうなのだ。
なにもバブルだからって、遊んでるワケではなくて、それなりに忙しい思いもする。
母家は無視して、煌璃に帰る。
今、家には限りなく大きな、ガン細胞が居るのだ。
これ以上勝手な事をされるのは 冗談じゃない!
結局洗濯機は、純君が渋い顔で持って帰った。
今度は何を仕出かすやら。
『ただいま〜♪』
猫よ!出迎えご苦労。
『ただいま!』
と、ミルフィーを掻き混ぜ、クロスケを肩に。
リビングに行く。
居たのは、凪と蓮と、TVに張り付いた加代だけだった。
《お帰り!》
そう言ったのは凪と蓮で、加代はTVに夢中になってた。
『加代さん、ただいま』
『………』
『ただいま、加代さん?』
『………』
もう!リモコン?
あ、加代が持ってる!
『加代さん!ただいまって言ってるデショ!?』
『………オカエリナサイ』
TVに殆ど縁のない生活をして来た反動なのか、CM迄も夢中で観てる。
確かにTVを観る事も、世間を広げる手段だ。
だから、それはいいのだが。
でも、ケジメがないのはダメだ。
それに………
『胡座は禁止!
女の子なんだから、普段から気を付けなさいよね?
胡座になれば、背中は伸ばせないでしょ?
接客業に就きたいんじゃないの?』
『なんだべ?
TV観ちゃ悪ィんケ?
ぢゃんど兄さん達には断ったっちゅーんに!?』
『TVを観るのはいいケド、胡座はダメって言ってるのよ!
アンタは、何処でも、同じようにするんだから』
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