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3章:†呪われた僻地†
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久々のティータイム。
この所、バタバタしてて、こうしてみんなでお茶を飲む事なんてなかった。
だから、本当はもっと、違う話で盛り上がりたいのだが、現実はそう甘くない。
みんな押し黙って、紅茶を飲んで、陽貴さんのお客様が焼いたと言う、アップルパイを戴いてた。
磨夜がクロスケに、パイの中身のコンポートを差し出す。
クロスケは猫なのに、なぜか目茶苦茶な甘党。
ミルフィーは何でもござれ。
だから、今のサイズに。
渓がミルフィーに、お煎餅を掻いて咥えさせた。
ミルフィーは早速、自分のエリアの、サンルームの定位置に、それを持って行った。
何でもござれ、でも、ミルフィーは特にお醤油味が好きだった。
陽貴さんと一緒にお風呂に入ってたゆっ君が、リビングにやって来た。
押し黙ってる我々の様を、暫し不思議そうに眺めてから
『どうしたの?』
と訊いた。
直ぐに、陽貴さんも来た。
やっぱり、リビングの様子に暫し立ち止まって
『どうしたの?』
『あ、兄さん達、何か飲む?』
と、聖夜が訊いた。
『俺も紅茶を戴こうかな?』
と、陽貴さんが言った。
『ビール冷えてるのに?』
と、ゆっ君が冷蔵庫を覗く。
『いや、もう、アルコールはいいや』
と、陽貴さんが言った。
陽貴さんが、初めて煌璃を訪れた時は、完全なアルコール依存症だった。
未だ、つい、この前の事。
でも、ホストをしながらも、それを自力で克服しつつ有る。
未だ先は長いらしいが、もう、禁断症状も、殆どなくなったようだ。
ゆっ君は、何も取らずに、そのまま冷蔵庫を閉めた。
『僕も紅茶にしよう』
と言った。
テーブルには、アップルパイと、ジンが昨日買って来た、と言う、八幡屋の手焼き煎餅が有った。
『この煎餅は、旨いよね?
醤油がしっかり凍みてて』
陽貴さんは、自分で戴いたアップルパイには、全く興味なし。
お煎餅を噛って、アールグレイのストレートを啜る。
一口啜ると、レモンを入れた。
ゆっ君は、お砂糖を少し。
『話は済んだの?』
と、ゆっ君が訊いた。
《…………》
『こん年増に、追ん出すっで言われでる』
と、加代が言った。
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