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27章:僕のランドセル
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俺の実家でもある兄貴の家に俺と蓮は、暫くお世話になる。
久々の実家に懐かしさが込み上げてくる。
蓮は、イオンからランドセルをずっと背負っている。
俺は、蓮の手を引いて、仏壇の前に座った。
蓮「じいじとばあばか?とおちゃん」
俺「んだ。御線香あげて南無すんべな」
蓮「うん」
俺と蓮は、御線香をあげて、両手を合わせた。
その日の夜は、兄貴夫婦とお酒を酌み交わして、布団に入った。
午後11時頃に喉が渇いて目を覚ますと、兄貴が居間で、横になっていた。
俺は、たばこを吸おうと外に出て、昔から庭にある岩に腰を掛けて、たばこに火を着けた。
ポカリを飲みながら、煙を空に吐いていたら玄関の扉が開く。
兄貴「おう。たばこくれや」
俺「ほれ」
兄貴にたばこを渡して、ライターで火を着ける。
兄貴「明後日入院か?」
俺「ああ。検査だから心配は、要らないよ」
兄貴「もうすぐ5年か?」
俺「そうだな2回目の手術して、もうすぐ5年だな」
兄貴「小せえのに頑張ったもんな。蓮」
俺「ああ。蓮は、生まれてからずっと頑張ってるからな」
兄貴「そうだな」
俺「元気に育ってるから大丈夫だよ」
俺と兄貴は、そんな話をしてたばこを揉み消した。
布団に戻ると、大事そうにランドセルを抱えながら、眠る蓮の左胸に手を当てる。
『ドクンドクン』
心臓の鼓動が伝わってくる。
明後日は、心臓カテーテルの検査の為、蓮と二人で、病院に向かう事になっていた。
5年前のあの日、息子の命を繋いでくれた神奈川県立こども医療センターへ。
目を閉じると思い出す。
あの病院での息子が、一生懸命に闘っている姿をそして、何も出来ず側に居る事しか出来なかった自分を。
蓮「う〜」
目を開けるとランドセルを抱く蓮の姿。
俺は、頭を撫でて蓮を、抱きながら眠った。
『僕のランドセル』
無邪気に笑う息子の初めてのランドセル。
今の息子にとっての大事な宝物。
これから、このランドセルに教科書を詰め込んで6年間息子を、見守ってくれるんだと俺は、思った、そんな2019年2月25日の出来事。
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ReN〈蓮〉 ©著者:ダディ
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