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13章:‡雨‡
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加代がそれを黙ってたが、冷めたような笑顔になって
『俺はホンドに口減らしだっだんけ?
だども、俺なんがもう、関係ねぇのは当たり前ぇの事だっだんけ?』
と、呟いた。
『孫が男の子だがら、そっぢに金掛けるっで。
そんに、加代はろくに読み書きも出来ねぇし、性格もひねくれでるがら、集団就職もさせられねがっだっで言っでだんだど。
んだがら、篠部に行っだら厳しぐ躾でぐいろっで母ちゃんが言われだっで。
だども、サトエん家はもっど金が少ねぐで、何度も言っででもはぐらかされぢまうっで。
んで、下が梺町に移動しだら、結局、金の事なんがそのままで、何処に行ったんだが判らねぐなっぢまっだっで、父ちゃんも母ちゃん凄く怒っでだ。
役場がら金が入ぇっだんに、そのまま逃げだっで。
だがら、サトエには特別辛ぐ当たっでだんだ。
サトエは親にも見捨でらいだクズだっで言っで』
ユキちゃんがそう言うと
『だべ?
だども、俺は悪ィぐねぇ!
サトエはクズだっだんだし、俺がみんなに色々話しでやっだがら、みんなだっで、余計に喰えだり、旦那がら、褒美貰っだりしでだんだ。
俺がみんなに、いい思いをさしでやっだんだべな?』
人を差別する事、それを否としない環境。
クズ、と位置付けられてしまったら、もう、なんでもアリ。
加代は、それを知って立ち回った。
でも、もしそれをしなかったら、きっとトシコさんの矛先は、加代にも向いてた。
本家を絶対とする、こんな閉鎖された場所で、保身的になったからと言って、それを攻められるだろうか?
毎日、畑仕事と、家事とご主人のご機嫌伺いと。
ずっと、それこそ一生、その繰り返し。
そう考えたら、保身に走るのは当然だと思った。
サトエさんについて、加代を攻めてた自分の浅はかさを知った。
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