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12章:†生き霊†
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☆ASUKA☆
時代錯誤のような、レトロな診療所。
木造建築で、横溝正史の世界にでも在りそうな。
映画のセットみたいや。
外壁は、魚のウロコのように、板が幾重にも重なっとって、窓枠かて指先を滑らせたら、棘を刺しそうな。
玄関の前に、車を停めた。
ケンジはんは助手席で、相変わらず腹を抱えとった。
『なぁ?どないや?
急所は外したつもりやねんケド、未だ、呼吸がよう出来ひんか?』
本気で極めたつもりはない。
かなり加減したんやけど。
『ケンジ、加賀ん家に着いだ。
歩けるけ?』
将也が声を掛ける。
『イケる筈や?
そない入っとらん筈や?』
そない言うたら、一緒に来はったミツグはんが
『オメェが言う事じゃねぇべな?』
と言わはった。
『せやけど、ワイは、一歩も動かんかったやん?
ケンジはんが、勝手に突っ込みはった勢いだけや。
喧嘩慣れしてへんのか?
まぁ、せやからナイフ持ち歩いとんのやろケド?』
運転しとった将也が
『中に知らせで来る』
と言って、運転席を降りた。
ワイも降りる。
ミツグはんも降りはって、外から助手席のドアを開けて、ケンジはんの様子を見はる。
『オメェ、どうだ?
痛いのけ?
そいども、苦しいのけ?』
{***}
『かなり重症だべな?
ちゃんど金を取るがらな?』
{***}
『ああ、勿論だ。
警察にはちゃんど届げっがらな?』
アホや!
刃物人に向けよって、返り討ちに遭うた言うんを警察にって、どない神経しとんのや?
自虐好きなんか?
『自主しはんの?
エライ殊勝な心掛けやな?』
それしか言葉が見つからんかった。
『自主だど?』
『せやがな?潔ええやん?』
と、ワイは単純に感心しとった。
したら、ミツグはんが急に立ち上がりはって
『オメェ、今、何で言っだ?』
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