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8章:†杏里ちゃん†
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ドアが開いた。
『そろそろ畑の草取りをしないと、もう、草が生えて来てる!』
園長先生だった。
『おや?桜木さんいらっしゃい。
今日は、お世話になりますね!』
『いえ、お世話だなんて。
家のみんなも楽しみにしてるんです。
返ってお邪魔して、申し訳有りません』
『とんでもない!
子供達もそうですが、調理の職員が何時も学ばせて戴けるって言って。
本当に有り難いですよ…………
澤田先生、また、随分早くに?
今夜は確か当直でしたよね?』
と園長先生が幹耶に言った。
『ええ、そうです。
岡崎を連れて来ました。
杏里の叔父に当たる者です。
杏里の産みの親の兄です』
将也君はもう既に立ち上がってた。
『杏里の叔父に当たります、岡崎将也です。
この度は、園長先生に特別な計らいをしで戴いで、有り難うございます』
そう言って頭を下げた。
『いやいや、そう堅くならんでも?
まぁ、掛けて下さいな!
お待たせして申し訳なかった。
今日は天気がいいから、つい足を伸ばしちゃって』
奥様が園長先生の前に、お茶を置いた。
『ああ、ありがとう。
喉が渇いたよ』
そう言って、園長先生は湯飲みを持つとフウフウ。
『今、色々と話してた処だったんですよ』
と奥様が言われた。
園長先生は、お茶を一口啜ると
『そうかね?
じゃ、それは後で聞く事にして、岡崎さん?
姪御さんにお会いになりますか?』
『ええ、出来れば』
と将也君が言った。
『じゃ、ちと連絡して。
もう、部屋に行ったと思うから』
と、園長先生が奥様に。
『あ、俺が連れて来ます』
と、幹耶が立ち上がった。
幹耶が杏里ちゃんを連れに行ってる間、将也君は園長先生に、奥様に報告した事と、同じ事を話した。
『ご存知の通り、本来は児相を通さなくては、入所させられないんだが、今回は特別措置です。
ただ、ずっと此処に置くのは相応しいように思わない。
だから、もう少し様子を観ながら手続きを済ませて、あの子に合った所に移すか、もし引き取られるならそれで。
ただ、年齢がハッキリしないから、ちょっと調べる必要が有りそうですね?』
と園長先生が仰ると、入り口のドアが開いた。
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