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7章:‡忘れられない事‡ (60/60)

結局、田んぼを取り上げられるとなって、篠部家の小父様方はそれぞれの家にお金を取りに行った。

『トシコは、こっぢの人に謝れ』

と、お祖母様が言った。

『そうしねぇならもう、田んぼも畑も貸せねぇ』

とお祖父様も。

{何で俺が謝るんだべ?

んだどもこの女は、随分態度が悪ィべな?}

『俺にはそうは思えねぇな?

オメェの態度の方が、余程悪ィべな?

何様のつもりだべ?』

と岡崎家の小母様が言った。

結局、篠部の小父様方は、お金を持ち寄って零士に支払い、トシコさんには、私に頭を下げさせた。

岡崎家のお祖父様は、一応不問とし、田んぼも畑もこれ迄通りに貸し出すようだ。

お祖母様が

『次はねぇど思え』

と一言言った。

食事が済むと、私達は将也君の荷造りを手伝う事に。

母家の将也君の部屋に行く。

引越し業者、とも考えたが、結局運び出すのは、衣装ケースのような引き出しだけだった。

『また来っ事になっがら』

と将也君が言った。

将也君は、渓流館を見放すつもりはないらしい。

みんなで荷物を将也君のパジェロに積み込んだ。

将也君は、一緒に足利に行く。

順子さんとサトエさんの祭壇は、昇天セレモニーが引き上げに来て、足利支店で、小さな祭壇を祀る事になった。

供養に関しては、螢ちゃんが引き継ぐ。

お昼ご飯を戴くと、私達は矢菅を出る事になった。

秋本さん達も、大宮に帰る事に。

私達も秋本さん達も、山のような山の幸をお土産に戴いた。

お米、山ゴボウ、和人参、山菜、ウド、2種類の筍、山葵、お祖父様が仕込んだ地酒とお祖母様のお味噌。

蕎麦粉と地粉。

ヤンマーの2人が釣って来たイワナとヤマメ。

『こんなに申し訳ない!』

と言う秋本さん達は、ニコニコしてる。

私達も。

宿泊費はなし。

順子さんの父上も母上も、結局顔を出さなかった。

でも、他の皆様に見送られて、私達は矢菅を後にした。
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‡ふぁみりぃず‡ ©著者:Jude(ユダ)

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