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9章:初めての彼氏は客引きだった。
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いーちゃんとの出会いはスナック桜。
ぼったくり仲間と飲みに来てた。
考えてみたらこの時もチラチラみてたな。
その中の一人が帰ると言い出した。
先輩のタキさんに飲みに誘われたからそっちに行くからと。
いーちゃんは「俺と居るって言えば大丈夫だから」と引き止める。
でも後輩は「いや、タキさんにはお世話になってるから」と帰ろうとする。
「だから俺の名前出せよ!」
「いや行かないと」
その繰り返しが何度も続く。
誰がみても明らか。
後輩はいーちゃんが好きじゃなくタキさんと飲みたいだけ。
先輩のタキさんの名前を出して逃げたいだけ。
でもいーちゃんにはわからない。
いーちゃんはいい振りこきな所があるから、お会計要員にされていた。
飲み会や食事会が終わる頃に呼び出され「ごちそうさまでしたー」とみんなに帰られる。
そんないーちゃんにどこか同情もしてた。
顔もイケてないし服のセンスもヤクザ風だった。
でもお金がなくて苦しくて足掻いていた私には、いーちゃんの羽振りの良さが魅力的にみえていた。
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