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9章:初めての彼氏は客引きだった。
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いーちゃんと同棲することにした。
二人でお金を貯めようと約束した。
いーちゃんは1歳の時に父親が蒸発した。
2歳の時に母親に捨てられて親戚の家に引き取られた。
いーちゃんは可愛がられなかった。
申し訳ないけどわかる。
いーちゃんがあまり可愛い子供じゃなかった事が。
大人になってもちょっと空気が読めてない感じが否めなかった。
例えば周りの人をすごくチラチラみる。
本人は全く気がついてない。
それは他人をみてるつもりはなく、自分がどう見られてるかを気にしてるから。
喫茶店で面白い話をして笑ってると、いーちゃんも笑いながらチラチラ隣の席をみる。
隣の人はいーちゃんの話しなんて聞いてないのに。
自意識過剰すぎる。
たまたま入った焼き鳥屋で偶然、近所の犬のお散歩仲間に会ったことがある。
お互い挨拶して食べて、帰り際に挨拶してそれで終わり。
いーちゃんにはそれができない。
食べ終わっても帰ろうとしない。
チラチラチラチラそっちを見る。
帰ろうよって言うと、まだ居ると言ってきかない。
あくまで犬のお散歩仲間だ、
相手もそれ以上の関係は望んでいない。
それがいーちゃんにはわからないのだ。
ちょっと話しかけられたら嬉しくて嬉しくてソワソワしてる。
チラチラ見られる方は嫌だろうな。
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