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3章:伝説のニース
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フィギュアスケートが大好きで、でも自分の不注意でフィギュアスケートを辞めた情けない自分
僕は純粋にただフィギュアスケートが好きだっただけ、試合で勝ちたいとか野心は全くなく、高橋選手の試合を観てもプルシェンコ選手の試合を観ても、ジャンプの技術・ステップの技術、本当にカッコイイなぁってくらいで
どこか憧れ?みたいな遠い世界の人達がそこに居るだけで、僕には「カッコイイ世界」って思いがあった。
で、当日・・・・
選手達の素晴らしい演技に感動したすぐ後、羽生結弦の演技を初めて観たのだけど、ロミオとジュリエット!まぁフィギュアでは演じやすい曲だろう、その程度の気持ちで彼を観ていた。
でも、冒頭4Tの高さ幅、流れる様な着氷の美しさ、淡々とジャンプを跳び、後のコンビネーションジャンプと前半はミスなく進んだ
中盤のステップに入ったところで、少し呼吸が激しくなってる様に感じた、ん、バテた?
そう思った瞬間、氷の凹みに足を取られ膝から崩れ落ちる様にロミオが倒れた・・・・
「ロ・ミ・オ・が・倒れた!!」
そう、あれだけ羽生結弦を否定していた僕が、羽生結弦の描くロミオとジュリエットのストーリーに引き込まれ、羽生結弦の姿をロミオに重ねて観ていたんだ。
周りからは悲鳴にも似た歓声があちこちから聞こえたかと思うと、次の瞬間「 ロミオ!ロミオ!」後ろの外人が大声で叫んでいた。
羽生結弦がすぐさま立ち上がり次のコンビネーション3A3Tを気力で美しく着氷すると、会場は割れんばかりの声援で満たされた
最後のステップに入る前のスピンでは、もう体力が失われ、気力での演技になるかと想像した瞬間
17歳のロミオが最後の気力を振り絞り雄叫びを上げた!
その雄叫びが、ジュリエットを失って発狂しているロミオの姿、悲しみ怒り、あらゆる感情とリンクしたかの様に、彼のすざましいパワーが会場全体を包み込んだ。
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僕がフィギュアスケートを愛する理由 ©著者:蒼兎
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