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6章:なしなんてあり得ない
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どれだけ日が過ぎても
穏やかではいられるようになったけど
公太の記憶が薄れる事はなかった。
また沢村さんが海外に半月行ってしまって
いつか見たプランター菜園を始めて見た。
よくよく見てみると
どの部屋からも似たようなプランターがあって
うちだけ殺風景だった。
麻友『流行ってるのか♪』
簡単なものから
割りとミーハーに道具を揃えていきハマッていった。
退職して1年半
珍しくアポなしでチャイムが鳴る。
カメラを見て、しりもちをついた。
そこには、いなくなった時から何1つ変わらない風貌の公太が立っていたから。
急いで起き上がり玄関をあける。
公太『久しぶり
』
麻友『お帰り…』
ちょっと日焼けしてるけどなんら変わってない。
今までどうしてたかなんて聞くよりすぐに抱き締めた。
麻友『お帰り…』
公太『ただいま
』
麻友『本当に帰ってきたの?』
公太『うん
ゴメンネ、心配かけて…』
体が離れた瞬間
麻友『んっ…
え…、公太?』
公太『なあに?』
麻友『どうして…』
公太『麻友、ずっと愛してるよ?だから麻友もずっと僕だけを愛して?』
私は公太に支えられながらでしか立ってられなかった。
公太『麻友、手がかかる子だな(笑)よいしょ…』
麻友『なんで…』
下半身の感覚はもうなかった。
次第に意識も遠退く。
左腹部に鈍痛がして
見ると包丁が刺さっていた。
公太を見上げると
相変わらずニコニコしている。
倒れそうになると
包丁がそのまま上にずれ込んだ。
そのまま2人座り込む。
微かな記憶の中
それはまだ記憶があるのかどうかもわからない。
意識だけが体から離れて、公太がしている事が見えてるように感じる。
公太はニコニコしながら私の腹部を裂いて、服を着たままの下半身にも包丁を差し込んでいた。
公太『やっと僕だけの麻友になったね。
ちょっとの間待ってて?』
最後に自分の腹も刺して麻友に覆い被さるようにして倒れた。
それを見ていたように思うし、気づいたら真っ白な世界にいた。
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なしじゃ生きられない ©著者:愛希
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