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49章:酒池肉林 (1/20)

49章:酒池肉林

「はぁ〜ぁ、西郷の奴、結局部活に来なかったなぁ」


駅伝部の練習場として契約している市営の陸上競技場から指導を終えて帰ってきた体育科教師兼駅伝部顧問の島津斉彬は、ひとり体育館裏のベンチに座り、消沈するような溜息をついた。

顧問の役割は現場での直接指導と部の管理と言う二つの側面に分かれる。

新チームの高体連へ向けた活動の組み立てや備品、用具の点検等、または強化合宿などの引率計画の作成や部活動通信の発行を含んだ庶務関係まで。

新年度こそ気を引き締め、直ちに準備を進めておかなければ円滑な指導には繋がらない。

正直こんな所で油を売っている暇はないのだ。

箱根駅伝の出場経験があり、根性と体力だけは誰にも引けを取らない28歳若手教師の島津でも、総合的な管理はワンマンでは無理がある。

副顧問やキャプテンを始めとしたそれぞれの指導担当者に役割を分担しなければやり切れない。

それなのに、一番の相談役を担わなければならない副顧問の西郷が、あのような鬱な状態で早退してしまったのだから、その処理もままならない。

夕刻まで部員達の練習を見守り、ランニングで帰校させてからひとり居残った島津は、競技場の片付けに勤しんでいたものの、西郷や由羅のことが気がかりで気持ちが散漫してしまい、はかどる仕事もはかどらなかった。

おかけで競技場を出た頃にはすっかり日が暮れて、学園に到着した今の時間は既に満天の星空が頭上に広がっている。


「うっ、やっぱ寒いな、とりあえず校舎に入るか」


連なり合うような山々のうねりに囲まれた標高の高い盆地の初春は、夜の戸張が降りる頃には冷たさを絡めた澄んだ夜風が大気にまとう。

日中のポカポカ陽気と打って変わって、特に今日はいつもより寒さがぶり返していた。

防寒用のジャンバーを車内に置き去りにしてしまったばかりに、ポリエステルジャージの上着だけでは寒さが余計に身に染みる。

体育教官室で暖を取ろうかと考えて立ち上がり、ぶるっと武者震いして体育館の窓枠にふと目をやった。

この中では、おそらく体育科の後輩教諭であるバスケ部顧問の山田が練習の後片付けをしているのだろう。

まだまだ煌々と明かりが漏れているから、釣瓶落としのようにあっと言う前に闇が深くなっていけば、その照明だけが頼りとなる。
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三人の女豹女教師 ©著者:小島 優子

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