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43章:ゆかり、雪絵のパンツ引き摺り下ろしたってさ
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43章:ゆかり、雪絵のパンツ引き摺り下ろしたってさ
もうそれ以上の声は出なかった。
やがて彼女の貌が右目と左目で違ってきて、もう既に私の口や声帯はそちらの世界にはないと気がついた。
遮光カーテンの間からもれるわずかな光、サラカラのシーツ、ふかふかの枕、白い天井。
目覚めると、私は病院のベッドに横たわっていた。
目を何度か瞬かせ、天井に手を届かせるように腕を上げる。
遅れて自分の身体の上に控えめな重さを感じて、腕がそちらに倒れていく。
それは柔軟で、しなやかに凹んだ女性の柳腰のような感触がした。
「ゆかり!」
瞬間、バサっとベッドの脇で上体を起こしたのは、潤んだ双眸から煌めくように涙を散らした由羅センパイだった。
「あー、良かったぁ」
喉に詰まっていた息を吐き出すようにして感嘆する彼女は、あの夢の中と同じ翡翠色のドレスを着ていた。
そうだ、ドアを開いて私を迎え入れてくれた時のファンシーな見繕いに、ひと目でうっとりとしたのを思い出した。
でも私はまだ夢の続きの中にいたのかもしれない。
「ソヨンさん…? ダヒョンさんは…?」
私は瞼の下をこすり、寝言のように呟いて半身を起こした。
すると、センパイは私に突然取りすがった。
口元で肩口を覆われて、ぱっちりと瞼が見開いた。
ほっそりした腕が背中に巻かれて、夢の中で体感したように湿った頬を私のそれにこすりつけられて、ただ「よかった、よかった、ごめんね、ごめんね」と嗚咽を漏らしてむせび泣くばかりの絶美な女性。
私はあれから由羅センパイのマンションへ突っ走った。
雨の中、傘もささず、公共手段も使わず、ただ突っ走った。
雨粒に全身を覆われ、ポニーにした後ろ髪まで重く首筋に貼りついた青白い顔の私を見て、センパイは慌てて部屋に上げてシャワーを勧めてくれた。
でも、私はそれを無視して今日の出来事を息せきを切って矢継ぎ早に彼女に話した。
彼女は悲しそうに顔を顰め、話を聞いているうちに、その瞳に涙らしい光の影が徐々に溜まっていくのがわかった。
それから私は意識が朦朧としてきて、「ゆかり!ゆかり!」と騒ぐ声に肩を揺すられて、眠りに落ちたのだった。
「センパイ…私…」
走れメロスの真似事のようなことをしたばかりに、彼女に迷惑を掛けてしまって、私は後ろめたい気持ちでいっぱいだった。
悪いのは私の方なのに、どうしてセンパイは自分を責めるのか?
少し落ち着くと、センパイは私の肩を引いてこちらを覗き込み、こう言った。
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三人の女豹女教師 ©著者:小島 優子
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