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33章:謎の女子高生
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33章:謎の女子高生
雪絵が緋咲らと合流したこの日の朝に遡る。
夜の面影が消え、寒さが空気にひそむ午前六時の駅前はまだひっそりとしていた。
天気は快晴、日中はポカポカ陽気になりそうだ。
幹線道路もまだ落ち着いているこの時間に、一台の高級車がロータリーを通過してきた。
朝の静寂な空気を破る、大地を打つような轟音を響かせて。
それは駅前のコインパーキングに入って区画に駐車したところでピタリと止まった。
降りてきたのはサングラスを掛けた高身長でスタイルの良い女性。
ダークブラウンに彩られたロングウェーブヘアーをパサッ揺らし、車体に手を添えて遠くを見つめる女性は、分厚いトレンチコートで身をくるんでいる。
この姿だけでもファッション雑誌の被写体のような華麗さがあり、人目を引きつける。
空気はこれまで感じたことがないほどに澄んでいた。
陽光はすでに春めいていたが、風には冬の名残りがある。
犬や猫が我が物顔で歩き回っていた駅前の路地は、やがて始発が到着して人影もまばらになり、パーキング脇には季節の花々が勢いよく咲き誇っている。
野球のユニフォームを着た少年が駅から出てきて、元気に駆け出していくのも見えた。
女は新鮮な空気をすぅっと吸い込むと、コートのボタンに手を掛けて独りごちた。
「まだまだ寒いわね。
もうしばらくコートは脱ぎたくないけど、思い切っちゃうわ。」
艶かしいほどの動作でコートを肩から脱ぎ去った女は、それを即座に後部座席に放り込んだ。
「うわっ…」 矢継ぎ早に通行人から、感嘆符のような声が投げられた。
その驚き方からすれば、コートの下の彼女はとんでもない格好をしているようだ。
彼女は不躾かつ淫らな視線に抗うことなく堂々と闊歩した瞬間、「おはようございます」と若さのある透き通った女性の声に足を止められた。
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三人の女豹女教師 ©著者:小島 優子
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