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24章:ギャングの女ヘッド参上 ① (1/10)

24章:ギャングの女ヘッド参上 ①

【カリスマ女子高生の悲劇】



愛娘雪絵を拉致したと中野に告げられ、気持ちの整理がつかなくなった赤山は、店のカウンターにひとり座り、しばらく頭を抱えて項垂れていた。

頭上に置いた右手の甲は、中野を殴ったことで中指の付け根の関節あたりで皮膚が破れ、すきま風が心を打ち砕くようなヒリヒリとした痛みを走らせた。

中野が去って一時間が過ぎた頃だろうか、駅の方角に抜けていく改造車の残響がジンジンと鼓膜に響いてくる。

かなり大勢の暴走族が駅前に集結しているようだ。

彼は意味もなく響動み(どよみ)に頭を向けてカウンターに目を戻す。

その向こうに見える厨房は、自分の胸の内を分身にしたようにくすみにぼやけて、薄ら寒い空気に支配されている。

血に染まった口元に笑みを浮かべて店を出ていった中野の顔を思い出すたび、悔しさが胸を詰めるように込み上げてくる。

居酒屋のマスターとして訪れる人々を温かい笑顔で迎えてきたこの中年男性は、極道の親分という黒い過去を持つ。

彼の名は赤山熊吉。

御歳68歳である。

現在は目方にしていた側近の部下にその地位を譲って退いているが、隠居しても尚、隠然たる陰の力で組織を取りまとめている。

若い頃の熊吉はありとあらゆる悪事に手を染めてきた。

恐喝や麻薬密売、売春斡旋に美人局などの詐欺行為を繰り返し、刑務所に送られた回数も数知れず。

熊吉を慕う若い衆は枚挙に暇がなく、彼の身代わりとして刑務所入りを志願した者も多くいた。

カリスマ性を買われて巨魁まで昇りつめていった彼から棘が抜けはじめたのは、雪絵が生まれたことがきっかけだった。

ひとりの父親としての責任が伸し掛かると同時に、世間から白い目で見られることへのもどかしさも覚えたからだ。

悪事を働くことやそそのかすことはきっぱりとやめたが、当時から慢性化していた熾烈な内部抗争が沈静化するまで、極道の親分としての務めをきっちり果たすつもりでいた。

騒動は五年前にようやく鎮まり、彼は勇退を決意した。

そのケジメとして小指も落とした。

彼は料理を差し出すときはなるべく右手の小指の部分は隠すようにしていたが、事情を知っている何人かの常連客にはすでに気づかれていた。

夜明けが近くなってきた頃、カウンターに置いた彼の携帯から着信音が鳴った。

画面には緋咲という男の名前が表示されている。

熊吉はそれを確認するとすぐに通話を受け取り、「おう、やってるな!」と濁った太い声で一声を放った。

端末を通して聞こえてくる緋咲の言葉に「おう、おう、」と頷くうちに、彼の口元が軽くほころぶ。


「よくやったぞ!

やっぱりお前を頼ってよかったぞ。

この後のフォローも宜しく頼むな!」


熊吉は安心したように破顔して通話を切った。
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三人の女豹女教師 ©著者:小島 優子

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