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22章:ゆかりの悲しい過去
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22章:ゆかりの悲しい過去
二人と中野は高校時代の同級生だったが、彼らの間には強い因縁が渦巻いていた。
当時中野は井平理事長に成りすました父親と共謀して優子を拉致し、思う存分に被虐を与えて地獄に陥れた張本人だ。
これに激怒したゆかりとなつは、古平を筆頭に直虎会傘下の暴走族のカシラ緋咲の協力を得て、全校集会という公の場で中野らにキツイ制裁を加えた。
ここでコテンパンにやられた中野は、学園を去らざるを得なくなり、その後消息をくらませた。
それが深い憎悪を生み、今でもあのおぞましい記憶がけたたましく脳裏を巡回して離れない中野は、この二人も当然の如くターゲットにしている。
その中野と偶然にも出会ってしまったゆかり達は、中野の顔を見た途端に新たな憂鬱感を生んでしまった。
マスターは中野がオーダーした生ビールのジョッキすら手に取っていない。
中野の要求が一杯ひっかけることではないのは充分承知だ。
コイツがここに来たということは、この店を立ち退けという意味かもしれない。
中野はすぐにその課題に取り掛かりたかったが、ターゲットの二人に出くわしたことで丁度良かったと言わんばかりに、執拗に二人に絡んできた。
「小野! お前、青沼と籍入れたって?」
「だから何よ?」
ゆかりを飛び越してなつに顔を向けた中野が、先になつから絡みはじめた。
なつは当初生徒会長だった中野に風紀委員長として付いて回り、一時はゆかりと対立したこともあった。
しかし、中野の陰険な本性が徐々に覚醒してきたことで恐怖感を覚え、次第に生徒会と距離を置くようになった。
それが逆鱗に触れて、彼女は中野から嫌がらせを受けるようになり、挙げ句の果てには仲が悪かったゆかり達のグループと手を組んで中野を戒めた。
つまり高校時代、最初に中野の標的にされたのが彼女である。
「ほう、あの青瓢箪が結婚ねぇ…。」
「青瓢箪って誰よ!」
なつが人生で初めて愛してゴールインを迎えた青沼幸隆に対して、青瓢箪と罵った中野に真っ先に激怒したのがゆかりだった。
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三人の女豹女教師 ©著者:小島 優子
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