東京都渋谷区、渋谷駅ハチ公口前のスクランブル交差点は、今日も大勢の人々でごった返す。

そのスクランブル交差点を渡った道玄坂下のある一角に、派手な色彩を固めたティーンズギャルが黒蟻のように集合した。

この日はティーン向けの人気ファッション誌のイベントで、若者文化のトレンド配信地である渋谷１０９前にて、読者モデルによる公開撮影会が行われた。

混乱したように押せ押せとなった黒山に群がるティーンのほとんどが、トレンドファッションに身を固めた女子中高生達であり、その錯乱の様子から、ＤＪポリスまでが出動する騒ぎとなっていた。

彼女達は一般の女子高生でありながら、その飛び抜けた美貌とファッションセンスに憧れ、ティーンズの教祖様として崇めるひとりのカリスマ読者モデルの登場を、今か今かと首を長くして待ち構えていた。


「あっ！雪絵ちゃんだ！」


「キャー！ 雪絵ちゃーん！

可愛いー！！」


赤山 雪絵（１８）

優子が担任を務める特進クラスの一軍女子のリーダーで、クラス全体も取り仕切る。

その上成績も優秀で、読者モデルもこなす才色兼備なカリスマ女子高生である。


怒涛のような黄色い声援が、街中を駆け抜けるくらいの地響きを唸らせた。

夏を先取りしたティーンブランドの新作水着をコンセプトにしたこの撮影会には、可愛い系からセクシー系まで様々なビキニタイプの水着を着たモデル達が出揃う。

中でもカリスマである雪絵が着用した水着は、アンダーがTバックショーツとなった黒のダブルストリングタイプのビキニだった。

１６５cmというしなやかな美身に、無駄な体脂肪がないカービーなボディラインと引き締まった長い手足、そしてＣカップのバスト。

誰でも簡単に手に入れることができない洗練されたボディーに加えて、腰まで伸ばしたサラサラで柔らかな黒髪のロングヘアーとアヒル口のルックスは、小悪魔系と癒し系の両方の魅力を備え持つ。

そんな美貌を手に入れた彼女だからこそ、世間の女子中高生達から敬われ、知らないところで勝手に教祖様にされてしまった一番の理由である。