四月初頭、着任式を控えた三人の女教師は、この後クラス開きを迎える。

新米のゆかりは二年先輩の山田為久が受け持つ３ーBのクラスの副担任に。

同じく新米の西郷は運動オンチながらも体育科の島津が受け持つスポーツ科学科の助手として配属された。

一方キャリアの長い優子は三学年の特進クラスの担任として配属され、由羅がそこで副担任を受け持つ。

この配属はすべて由羅によって企てられたもので、由羅が優子の後ろをついていくことにより、背後から徐々に背中を押して地獄に陥れていくという恐ろしい計画の為だった。

ひとつのクラスを由羅と共に引っ張っていかなければならないと知った優子は、すぐに由羅の仕業と気付いた。

そして、優子も間近で由羅を監視できると、彼女にとっても好都合だった。

しかし、気ががりなのは、何故二人の配属が学園の中でも秀才が集まる特進クラスだということだった。

学園を代表する将来を有望された生徒を受け持つのならば、優子のような若い女教師より、卓越した年配の男性教師の方が相応しいからである。

この日は入学式、始業式に引き続いて着任式が行われるため、職員の正装が義務付けられていた。

優子にとっての正装と言えば、膝上が極端にずり上がったブラックのタイトミニスカートである。

全校生徒の目を初日から釘付けにしたかった優子は、これに薄生地の黒のストッキングでさらなる魅惑を振りまき、ホワイトのブラウスに薄いベージュのジャケットを羽織ることでシックな大人の雰囲気も引き出した。

胸に紅白垂れのついた赤いリボンバラ章を掲げて廊下を歩く優子の前方から、これからの抗争の前兆を引き合わせたかのように、グレーのタイトロングワンピースで身を固めた由羅が近づいてきた。