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2章:見えない、君 (2/6)

セイゴと知り合ったのは3ヶ月程前、インターネットの某チャットサイトだった。

夜になれば次から次へと新しい待機部屋が作られるそのサイトは、言うなれば出会いサイトに近いと思う。
雑談というカテゴリーでは文字通り雑談をしたい人が待機しているが、地域別のカテゴリーでは【今から○○駅で会いませんか】【今から諭吉2で ○○市】なんて性行為を目的とした待機メッセージばかり。

話し相手が欲しいだけの私は、いつも雑談のカテゴリーに待機部屋を作っていた、HN(ハンドルネーム)美月という名前で。

【サクッと電話で雑談しませんか?】

メッセージも毎回同じ。チャットは通話相手を見つけるための手段だった。通話になったところで私の求めるものに変わりはない。

でもこの世界、相手はストレートにそれ以上を求めて来ることが多い。

─ひろさんが入室しました─
ひろ:こんばんは
ひろ:一緒にオナニーしませんか
美月:こんばんは、しません。
ひろ:あっそ
─ひろさんが退室しました─

ほとんどがこんなやり取りで終わるため、結果誰とも話さずに終わることが多い。

そして3ヶ月前、職場の飲み会でちょっと嫌な事があっていつものサイトにいつものように待機部屋を作った。

HN:美月【サクッと電話で雑談しませんか?】




─セイゴさんが入室しました─

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海の見えるこの街で ©著者:SAKURA

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