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2章:余暇 (1/2)

2章:余暇

恋人がいなくなり
一人で住むには少々広過ぎる部屋に
私だけが残されました。

当面の生活は彼の残してくれたお金がある。

しばらくは何も出来ずに
ただぼんやりとしていて
彼からの手紙を読むときと
彼への手紙を書いている時間だけが
人間的であったように思います。

時間というのはとても偉大で
少しずつ正気に戻してくれました。

そして気付いたのです。
働かなければと。

節約していれば
彼が戻るまで生活できたかもしれない。

でも私は違うと考えた。

彼の周りには信用できない人達。
彼からの預かり物を減らすことばかりを考えていた。

せめて私だけでもしっかりしなきゃ。
戻った時に人間不信になって
同じことを繰り返しちゃう!

そんな風に思ったんですね。
再犯を犯している人に対しておかしいでしょ?
でも、本心でした。

で、働く所を探すのですが
そこは性根の腐った私です。

キャバクラで働くことにしました。

友達に誘われたのが決め手ではあるものの
出勤が昼間のお仕事に比べて融通が利く水商売以外には
体力的にも続かなかったと思います。


最初に書いたように
私は嘘つきなのですが変に律儀な所があって
守れない約束はしない。
絶対などない。
なぜかそれだけは頑なに頭にあります。

ですから
彼には待てるかどうかはわからないと伝えました。

先には何が起こるかわからない。
でも
その時点では待つつもりでしたので
手紙では1日も早く戻れるよう
励まし続けていました。

中での振る舞い次第で
刑期は驚く程短縮されるのです。
子供っぽく激しやすい彼を刺激しないように
常に穏やかに
言葉を選びながら手紙を書き続けました。

その甲斐あってか
刑期は1年以上短縮されたのです。
私の細やかな自慢。
今回のお話とは関係ないのですがね。


そんな心積もりでしたから
水商売を選んだとは言え
営業やら同伴等は一切していませんでした。

きっと
お店のスタッフさん達からすれば迷惑この上ない存在だったでしょうね。


気持ちが変わり始めたのは
彼が私を疑う素振りを見せたからです。

異性関係ではありません。

彼の持ち物の管理をする関係上
私は彼が信用していた数名の人達から
持ち物について流れの報告を受け
それを彼に伝えていました。

すると食い違いが出てきたのです。
あるはずの物がない。
どこにあるのか知らないはずはないと言うのです。

私が知っていたのは
ある人が管理すると言い持ち去った所まで。
それ以上は知りようも無かったのです。
きっとその人が嘘をついたのでしょうね。


実際に見た事実のみを彼に伝えると
それ以上は何もなかったけれど
私を疑っているのは明らかでした。


それも当然です。
持ち去ったのは彼の父親だったのですから。

疑いを晴らしたい気持ちもありました。
証人もいたので
潔白を証明する事も簡単です。

それでも私が思い留まった理由はただ一つ
「可哀想」だ。

本来であれば一番信用できるのは肉親です。
そういう存在であるはずの父親が
息子を騙しているのですよ。
ならば
アホな女が欲に目を眩ませ処分した。
そう考えた方がまだ救いがある。
違いますか?

私を疑ったのも
彼が父親を信じたかったからこそなのでしょう。


ただでさえ不安な状況。
彼には心の支えが必要なのです。
それを壊す事など出来るでしょうか。
例え蜘蛛の糸だったとしても
存在するなら希望となり得るのです。



この一件が切っ掛けとなり
彼に忠実でいるのが馬鹿らしく思うようになっていったのです。

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昔の話 ©著者:白蔵主

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