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10章:運命の時 (2/17)

風呂から上がり、部屋に戻ると、ひかるはもう、起きていた。

布団は上がられ、朝食のお膳が並んで居る。

「お風呂、珍しく随分、長かったね?」

「うん。あまりに気持ちよくて、上がるのもったいなくてね。」

お膳のむこうがわのひかるは、昨日の夜の悲しげな顔は既になく、いつも通りの笑顔だった。

「帰りはさぁ、八景島に寄って帰ろうよ。」

「水族館?」

「うん。」

「いいね〜。」

そんな会話をしながら、朝食を終え、チェックアウトした。

女将が見送りに出てくれる。

「お二人さん、ゆっくりできたかしら?」

「はい。」

「是非、また、二人で遊びにいらっしゃい!」

「。。。は、はい。」

ひかるは一瞬顔を曇らせ、曖昧な返事をした。

「お父様方にもよろしくね。あっ!それと、ひかるちゃん!合格よ!」

と、女将はウィンクした。
ひかるは満面の笑みになり、

「お世話様でした!」

と、旅館を後にした。

車に乗り込む二人。

「ねぇ、合格ってなに?」

「なんでもな〜〜い。」

ひかるはニヤニヤとはぐらかす。
しばらく粘ってみたが、結局、なんのことかは教えてくれなかった。

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天使たちの微笑み ©著者:ハッシュ

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