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2章:#2 (3/34)




なんかカチンときた。


アルトくんは、綾哉を悪く言った事なんて一度もないのに。


「…悪い人じゃなさそうだけど?」


よせばいいのに、あたしも口をついてしまう。
いつだってそう。綾哉には。


『何庇ってんの?おまえは知らないだけだろ。』


綾哉の口調にもますます力が入る。


「じゃぁ、いい人って誰?
いいホストなんて存在するの?」

『何わけわかんねー事でムキになってんだよ!心配してるんだろ?』


負けたアルトくんが、自分を負け犬だと今どんな風に笑ってるのか

起死回生を目指して必死になっているのか


綾哉の方こそ知らないんだ。


勿論アルトくんの肩を持つわけじゃないけど、綾哉が言うように悪いだけの人には思えない。


景山の扱い方を教えてくれたり、売上に貢献してくれたり、少なくともあたしには味方の部分を持ち合わせている。


『おまえの方はどうなの?
まだ名前が上がって来ないから、迎えに行こうにも行けないんだけど。』


黙っていると綾哉が話題を変えた。さっきまでと打って変わった穏やかな口調で。


「そんな事言って、綾哉こそカイリくんを超えたの?」

『バーカ、可愛いげのねえ女。』


鼻で笑った綾哉、迎えにいくとか超えるとか、本当のところはどう思ってるのか。


上手く離れる為の叶うことのない幻の約束。
そうだね、確かに前よりも離れられたのは事実だよね。


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Addiction U ©著者:結月 杏奈

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