そもそも普通の女は、いくら疲れていようといくら現実から逃げたかろうと、出合い系に手を出したりはしないのだ。

そんなことをすでに登録が済んだ出合い系サイトのホーム画面を見て思う。

春恵はスマホをぽんと放り投げ、ベッドに身を横たえた。
なんど募集をしていても、なんど人と会ってみても、掲示板に投稿する時はすこし緊張する。
変な人からのメッセージはそれだけで精神的に削れてしまうから。

そもそもなぜ20歳の春恵が出合い系に登録し、気まぐれに募集掲示板で人を呼んでいるのか。
春恵は考える。自分の行動、思考についてぼんやりと考え込んでしまうのが春恵の癖だ。

優しくされたかった？自分を知らない誰かと話をしたかった？
それとももっと他に、何か。

ぴろん、とスマホが通知を知らせる音を鳴らす。きっと掲示板をみた誰かからメッセージが来たのだ。

また私は誰かと会う。
食事に行くのかもしれない。抱かれるのかもしれない。

そうしているうちに私は、出合い系を止められない理由が分かるのかもしれない。

これはそんな春恵の、誰にも知られることのない心の内の話。