私が暫く小説を書く事が出来なかったのは、凛花の事が原因だった。

去年の晩夏、凛花は鑑別に行く事になった。

警察に捕まったのだ。

罪状は一つではなかった。
詐欺、傷害など、他にもいくつかあった。

鑑別での生活は約一ヶ月。

面会の周期に特に規定はなかった。

さすがに毎日面会に行く事は出来なかったが、出来る限り行く様にした。

日に日に凛花の様子に変化が現れて行くのが分かった。


一般社会と断絶されて、一人で考える時間を長く持つ事が出来たお陰か、素直な一面が見えてきた。

自分のした事に関しても、反省していた。

そんな中、関係がギクシャクしていた、凛花にとっては義父で萌花の旦那さんの洋祐が、面会に来たという。

凛花はその時の話しを、とても楽しそうにしてくれた。

凛花「凛花ね、洋祐とまた仲良くやって行けそうな気がする。だから鑑別出たら家に帰って、ちゃんと学校に行くよ。」

凛花は洋祐と話した時に、幼稚園の頃や、楽しかった時の事を思い出したと言う。


私も凛花の言葉を聞いて、壊れかけていた父娘関係だけど、きっと修復出来る！と思った。

その時一緒に面会に来て、凛花の話しを聞いていた萌花の表情が暗かった事が、少し気になったのだが……。