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11章:貴史との出会い (1/3)

11章:貴史との出会い

ただその日は、何度起こしても、母が父の頬をパチパチ叩いても、なかなか起きない父。

母も深夜にも関わらず、

「もう、お父さん、いい加減にして!美里もいい迷惑よ!」

と声をあらげて怒っていた。

そこへ人が通りかかった。

私「お母さん、シッ!近所迷惑だよ。」

母「………………。」


通りかかった人は男性で、ジョギングをしている様な服装だった。

「どうかしました?」

その男性が話しかけてきた。

母「いえね、主人が酔い潰れてしまって、娘と家の中に運ぼうと思って起こしてるんですけどね、なかなか起きなくて…。」


男性「よかったら、お手伝いしましょうか?」

母「あら、いいんですか?」

私「お母さん、悪いから。」

男性「気にしないで下さい。大丈夫、運びますよ。」

その男性は、父を軽々担いで、玄関まで運んでくれた。

さすが男の人。力持ち!


母「此処で大丈夫です。」

父を玄関でいいと言う母に、その男性は

「部屋まで運びますよ。」

母「本当に此処で大丈夫です。ありがとうございました。」

そう男性にお礼を言って、ご丁寧に店の場所を説明して、

今度飲みに来て、今日のお礼にサービスするから、なんて話してた。

どう見ても、この人未成年だと思うけど。(笑)

男性は苦笑いして帰って行った。


この男性が、貴史だった。


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