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9章:凛花 (1/6)

9章:凛花

凛花は今、家には居ない。

誰もが聞いた事がある繁華街で、働いている。

まだ中学三年生だ。

世間の中学三年生は、この夏休みが勝負。

塾の夏期講習に通ったり、家庭教師をつけて猛勉強している子が殆どだろう。

私も、つい数ヵ月前迄は、凛花は高校に行ける、まだ間に合う、まだ諦めなくていい、そう思っていた。

しかし今は、学校云々などどうでもいい。

命があれば、命さえあれば、元気でいてさえくれれば、それでいいと思っている。

凛花に聞いた事がある。

凛花の歳で何故働ける?

偽造身分証明書を作ってくれるところがある。
○○円で作ってくれるよ。

働いてて楽しい?

楽しい!

家に帰っておいで。

やだ、つまんない!


堂々巡り。

家に2、3日帰ってきては、また何週間も居なくなる、そんな生活が続いている。


そして、一番恐れていた事が起こってしまった……。






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