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8章:旦那、貴史の事
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8章:旦那、貴史の事
貴史とは、私がまだ高校生の時に知り合った。
水商売に関しては、男だから手放しで賛成している訳ではなかった。
まだお互い若い頃は、やきもちも妬かれたりした。
しかし今となっては、私の仕事に協力的だ。
ドリームやルージュの開店は、貴史の協力無しでは実現しなかった。
貴史が借金を背負ってくれたり、祐一が保証人になってくれたり、
家族の支え無しでは、とても叶わなかったお店である。
貴史は会社員として働いていたが、会社の事情も考慮し、早期退職を希望し、依願退職をした。
退職金も其なりに貰う事が出来た。
私達家族は今まで住んでいた家を売り、そのお金を頭金として、貴史の退職金も使い、新築の家を購入した。
貴史は元々手先が器用で、趣味としてやっていたレザークラフトを、仕事としてやり始めた。
私の友達がやっている喫茶店などに、貴史の作った革製品を置いてもらい、その売上や、個人的にくる注文の品を作ったりして、生計を立てている。
サマースノーやドリームに、その様な物を置いて商売をする気はないが、ルージュには何点か置いて、購入希望があれば、対応している。
何より、ルージュの店長の勝之が、レザーが大好きで、元々は貴史の知り合いだった勝之に、ルージュで働いてもらう事になったのだ。
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