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「あれ?おねーさん?」
がらり、と引き戸が開く音と共に聞こえた聞き覚えのある声に、私は箸を止めて顔を上げた。
歌舞伎町に古くからある、定食屋。
まだ日の上らない早朝は、客もまばらで、疲れた体を休めるのに丁度いい。
遅番の日は、ここで朝食を食べながら始発を待つのが日課だった。
「奇遇だね!おねーさんもここで朝ごはんなんだ。俺もここの飯、好き」
いつもキャッチをしているあのホストが、話しながら笑顔で私の前に座る。
さすがホストだけあって、距離を詰めるのが上手い。
「ここでおねーさんは止めてよ。居酒屋の店員みたいな気分になるわ。あと何で自然に同席してるの」
「ダメ?あ、俺、塩鮭定食ねー」
手を上げて注文をすると、ホストはもう一度私に笑った。
「いーじゃん。知らない仲じゃないんだし」
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