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10章:ラストシーン (3/29)




「ウチの店、不動のNo.1がいるんだ。でもさ、もしかしたら今回のバースデーでNo.1取れるかもしれない。」


もともと指名数を持っていた綾哉は、二十歳を過ぎてお酒が飲めるようになってから、売上は急激に伸びていた。


カイリくんがスーパールーキーと呼んでいたわけだ。


「凄いね、頑張って。」


そんな当たり障りのない事しか言えなかった。


綾哉の指名が増えるほど、売上が上がるほど、色んな女の影が散らつく。


美嘉さんの顔が散らつく。


嬉しくないわけじゃない。
頑張っているのは知ってるから。


「イベントいつ?」

「ん?13。」


…13日。
その日は確か、カイリくんの代表就任イベントの日だ。


「No.1になったらさ…。」


何か言いかけた綾哉は、スプーンいっぱいにカレーを頬張り黙ってしまった。


「え?なに?」

「…いや、やっぱいいや。」


何故か少し不貞腐れたようにカレーを食べる綾哉。


「どうしたの?」

「イベント明けの店休、空けといて。時計見にいくから。」


なんだかその表情が府に落ちないまま、仕方なく頷いた。


「イベントの後、ここに帰ってくるから。」

「…わかった。」


この会話の意味も分からず、あたしはまた曖昧に頷いた。

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Addiction ©著者:結月 杏奈

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