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9章:浮世世界
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「ねーねー!ねーえ!ねえってば!」
スルーして先を急ぐあたしの目の前に立ちはだかり、両手を伸ばしストップの合図をするホスト。
「そこ、通して。」
「喉渇いてない?」
まだ幼さが残るそのホストははにかんだ。年は同じくらいだろうか。
「残念ながら渇いてないんだけど、あ、ほら、あの人喉渇いてそうだよ?」
少し前を歩く人を適当に指差した。
指名が取れるようになり、この街にもだいぶ慣れた。
嫌だったキャッチも、最早日課であり日常会話だ。
「あはは、そんな風に返されたの初めて。笑」
ジャニーズ系の愛され顔がくしゃっと笑顔になる。
「愛逶ー!」
「あ、支配人!お疲れ様です!」
愛逶と呼ばれたそのホストに近づいてくる、聞き覚えのある声とシルエット。
「あれ?澪ちゃん?
ビックリした、綺麗になったね。」
社交辞令の挨拶かもしれないが、あの頃より少しはルブタンが似合うようになったかな?カイリくん。
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Addiction ©著者:結月 杏奈
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