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5章:追憶
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『…ん。お……も…い……』
あたしの上に行儀よく乗る猫の顔をした2つの物体の重さで目が覚めた。
ルー8kg、ムー6kg。
おかげで太もも辺りがジンジン痺れていた。
『…はよぅ。』
掠れた声で挨拶をし、機嫌を損ねられないように丁重に2人を動かした。
『良かった。目は腫れてない。』
鏡で確認しながら、手元に置いてあるミネラルウォーターを勢い良く喉に流し込んだ。
正直、寝起きの水は苦痛だが、あたしの毎日の日課だ。
『あぁ…今日は佐藤さんだった。』
タバコを口に加えたまま携帯をチェックして呟く。
佐藤という客は2ヶ月前に知り合った。
他県の市長らしく、いつも自慢話をツマミに高級な酒をガブガブ飲み、会計はお決まりの領収。
偉そうな演説をしてた市長さんがそんな事してるって市民が知ったらショックだろうな…。
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