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小学校の入学式に母は来てくれた。
久しぶりに会った母に思わず抱きついた。
あたしの母はとても綺麗な人だった。
周りの子たちも、アヤちゃんのお母さんは綺麗だね、と言ってくれた。
母はいい香りがした。
「アヤちゃん、入学おめでとう。もう子供からお姉ちゃんになったんだね」
母はにっこり笑ってあたしの頭を撫でてくれた。
幸せだった。
「ママ、今日はばーばの家に一緒に帰ってくれる?」
私の問いかけに母は、
「ごめんね、ママ、お仕事があるの」
そう言って綺麗に磨かれた車の助手席に乗って行ってしまった。
学校の門の前には祖父が自転車に乗って待っていた。
「ノリコが来たんか。
どれ、アヤ、じーじと帰ろう」
その時の祖父の顔は、走り去って行く母が乗る車を寂しそうな顔で見ていた。
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