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5章:ふら…と (8/9)





なんらかの確信を得てから私に聞いたような気はするけど、認めてはいけない気もした。

鈴木さんはあっけらかんと話してしまうタイプだけど拓実は繊細だから、父親がホステスにpresentするとかはさすがに嫌だろうし。

奥さん健在なうちは言わない方が良いと思った。





拓実『似合いますね、その時計』


私『ありがと。

確実にビジュアルで選んだからねー
一生これをつけてると思うって言えるくらいお気に入りなんだ




拓実『へぇ






営業終了後




スタッフ『よくかぶらないね、あの親子』


私『だよね。
私、息子の連絡先知らないからさ。
ヒヤヒヤなんだよね(笑)

まあ悪い事してないけど。』




スタッフ『悪い事?


私『あんたねー


スタッフ『うそうそうそ





拓実はきっと
人慣れしようとしてるのかも。
とりあえずウチはベテランばかりだから話そうとするし。
拓実は端正な顔立ちで、ちゃんと受け答えするから感じ悪い事ないし。





鈴木さんいわく
彼女いた事ないんじゃないか、という話…。


私『鈴木さんに奥さんや若い彼女いるくらいだから
あんな見映えも感じもいい子にいない訳ないでしょ



鈴木『それ褒めてんの?』


私『もっちろん

私は褒める事しか言った事ないじゃなーい



糸みたいな細いたれ目で私をしらーっと見た(笑)
鈴木さんも
ちょっと付き合う分には聞き分け良いし人当たりいい。

ただ【不倫】するようには見えないような、品のあるimage






人は見かけによらない。





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表と裏 ©著者:愛希

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